2024年7月25日
【コラム】法定相続情報証明制度 ~相続手続が簡単に!!~
こんにちは、リユースせいわです。
相続と聞くと、「わかりにくい」・「手続きがめんどう」などと感じる方も多いのではないでしょうか?
今回は相続手続きの負担を軽減してくれる制度として始まった「法定相続情報証明制度」についてご紹介します!
1.法定相続情報証明制度とは?
法定相続情報証明制度とは、相続人が法務局(登記所)に戸籍謄本等の必要書類を提出し、登記官が内容を確認した上で、法定相続人が誰であるかを一覧にして証明書を無料で交付する制度です。
通常、家屋・土地などの不動産を所有していた方が亡くなられた場合、被相続人により所有権の移転の登記(相続登記)が必要となります。
しかし近年、相続登記がされずそのまま放置されている家屋・土地が増加し、所有者不明土地問題や空き家問題の一因とも言われています。
相続登記の申請が2024年4月1日から義務化されており、上記制度を活用し相続登記を促進をおこなっています。
2.制度の利用で「戸籍謄本の束」を何度も準備する手間が軽減
相続をするためには相続人を特定するために、被相続人の出生から亡くなるまでのすべての戸籍謄本を準備する必要があります。
法定相続情報証明制度が始まる以前は、市区町村役場に行き、申請を行いすべての戸籍謄本を集め、その戸籍謄本の束を相続手続きを取り扱う各窓口に提出する必要があり、被相続人にとっても何度も窓口に足を運ぶ必要がありました。
法定相続情報証明制度を活用することにより、交付された法定相続情報一覧図があれば、相続登記の申請手続きや被相続人名義の預金の払戻し等、様々な相続手続きに利用することができ、相続人の負担軽減にもなります。
3.法定相続情報証明制度の交付の流れ
法定相続情報証明制度の交付の流れですが以下の通りとなります。
■交付の流れ
■STEP①~必要書類の収集~
登記所(法務局)への申出にあたり、様々な書類が必要となります。
~必ず用意する書類~
①被相続人(亡くなられた方)の戸除籍謄本
出生から亡くなられるまでの連続した戸籍謄本及び除籍謄本を用意してください。
②被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票
被相続人の住民票の除票を用意してください。
③相続人の戸籍謄抄本
相続人全員の現在の戸籍謄本又は抄本を用意してください(被相続人が死亡した日以後の証明日のものが必要です。)。
④申出人(相続人の代表となって、手続を進める方)の氏名・住所を確認することができる公的書類
具体的には、以下に例示(※1)する書類のいずれか一つ
■運転免許証の表裏両面のコピー(※2)
■マイナンバーカードの表面のコピー(※2)
■住民票記載事項証明書(住民票の写し) など
※1 上記以外の書類については、登記所に確認してください。
※2 原本と相違がない旨を記載し、申出人(又は代理人)の記名をし
てください。
~必要となる場合がある書類~
⑤(法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合)
各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)(※)
法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載するかどうかは、相続人の任意によるものです。
※ 各相続人の印鑑証明書や戸籍の附票でも代用できます。
⑥(委任による代理人が申出の手続をする場合)
⑥-1 委任状
⑥-2(親族が代理する場合)申出人と代理人が親族関係にあることが分かる戸籍謄本(①又は③の書類で親族関係が分かる場合は、必要ありません。)
⑥-3(資格者代理人が代理する場合)資格者代理人団体所定の身分証明書の写し等
⑦(②の書類を取得することができない場合)
被相続人の戸籍の附票
被相続人の住民票の除票が市区町村において廃棄されているなどして取得することができない場合は、被相続人の戸籍の附票を用意してください。
■STEP②法定相続情報一覧図の作成
法定相続情報一覧図については、申出人が準備する必要があります。
被相続人(亡くなられた方)及び戸籍の記載から判明する相続人を一覧にした家系図のことを指します。
■法定相続人が子のみである場合の法定相続情報一覧図(例)
主な法定相続情報一覧図の様式や記載例は法務局ホームページをご確認ください。
■STEP③申出書の記入、登記所へ申出
申出書に必要事項を記入し、STEP1で用意した書類、STEP2で作成した法定相続情報一覧図と合わせて申出をします。
申出をする登記所は、以下の地を管轄する登記所(法務局)(※)のいずれかを選択することが可能です。
(1) 被相続人の本籍地(死亡時の本籍を指します。)
(2) 被相続人の最後の住所地
(3) 申出人の住所地
(4) 被相続人名義の不動産の所在地
※管轄の登記所(法務局)がご不明の場合には、法務局ホームページの管轄のご案内(リンク)のページの不動産登記管轄区域をご確認ください。
申出や一覧図の写しの交付(戸除籍謄抄本の返却を含む)は直接交付または郵送の対応も可能となります。
また一覧図の写しは、相続手続に必要な通数を交付してもらえます。
上記では、法定相続情報証明制度の手続きについてご紹介しました。
法定相続情報一覧図の交付については、申出から1週間を目安に取得が可能となります。
しかしながら、それまでの必要書類の準備や法定相続情報一覧図の作成などを考えると全ての方がこの制度を利用するメリットがあるかは人それぞれとなります。
下記では、どのような方が法定相続情報証明制度を活用するメリットがあるかご紹介させていただきます。
4.法定相続情報証明制度を利用するメリットのある方
上記では、法定相続情報証明制度の内容や手続きについてご紹介しました。
法定相続情報一覧図を取得することで相続手続きの際に便利ですが、利用するには様々な書類の提出が必要となり、書類を準備するにも時間も労力が必要となります。
そのため、すべての方がこの制度のメリットを受けることができるとは限りません。
下記のような方については、複数の戸籍謄本の束を準備する手間を考えると「法定相続情報証明制度」を利用するメリットがあると言えるでしょう。
・相続税申告が必要になる財産が多い方
・取引銀行が多く手続きの回数が多くなる方
上記のように、複数の取引銀行がある場合に制度を利用しなければ、A銀行に戸籍謄本の束を提出、手続き後、原本が返却されたらまたB銀行へを繰り返さなければなりません。
一方、法定相続情報証明制度を利用した場合には、法定相続情報一覧図を必要枚数発行することができるので同時進行に手続きを進めることができるため何度も窓口に足を運ぶ必要がなくなります。
5.まとめ
今回は、法定相続情報証明制度についてご紹介しました。
この制度を利用することで相続手続きの際に必要な書類の準備を簡略化することができます。
国としても、土地所有者が不明な土地や家屋が増加していることから2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。
制度を活用することで、被相続人の相続手続きの手間や労力が省くこともできます。
法定相続情報証明制度の活用についてはお近くの法務局や司法書士などの専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
出典:法務局「第2部 相続で未来へつなぐ 「争族」にならないために知って安心」
法務局ホームページ:「法定相続情報証明制度」について
法務局「あなたの相続手続を応援します!法定相続情報証明制度」
法務局ホームページ:「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」